オフィスの移転や電子機器の使用増加によって、「コンセントが足りない」と感じる場面は少なくありません。
しかし、安易にタコ足配線で対応すると、発熱やブレーカーが落ちるなどのトラブルにつながるおそれがあり危険です。
そのため、安全面を重視してコンセントの増設を検討する企業も多いでしょう。
ただし、コンセントの増設には電気工事士の資格が必要であり、工事内容や費用の目安も状況によって異なります。
この記事では、オフィスでコンセントを増設する際の具体的な方法や費用相場、工事を依頼する際に押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。
コンセントを増設する方法

オフィスのコンセントを増やす場合は、電気工事士による「増設工事」が最も安全で一般的な方法です。
配線作業には専門的な知識と技術が求められ、誤った施工は大きな事故につながるおそれがあります。
そのため、第二種電気工事士以上の国家資格を持つ専門業者でなければ工事を行うことはできません。
「簡単な作業なら自分でもできるのでは…」と思う方もいますが、わずかな配線ミスが感電や火災などの重大な事故を引き起こす危険があります。
安全で快適なオフィス環境を維持するためにも、信頼できる電気工事業者に依頼しましょう。
コンセント増設の費用は種類によって異なる

コンセントの増設費用は、工事の種類によって異なります。
新たに配線を追加するのか、既存のコンセントに増設するのかなど、作業内容によって行程や必要な部材・工事時間が異なるためです。
この章では、代表的な増設方法と費用の目安をご紹介します。
※記載費用はあくまでも目安で、配線距離・構造・回路数・専用回路か否かによって大きく変動します。
- 新たな場所にコンセントを設置する場合
- 元からコンセントがある場所に増設する場合
新たな場所にコンセントを設置する場合
新たにコンセントを設置する場合、主に2つの方法があります。
分電盤(ブレーカー)から新たな配線を引く方法
分電盤(ブレーカー)から直接配線を引いてコンセントを設置する方法で、費用は1か所につき約1万6,000円〜が目安です。
この方法は複合機など、1,000W以上の高消費電力機器を使用する場合に適しています。
専用の電気回路を確保できるため、他の機器の影響を受けずに安定した電力供給が可能です。
分電盤に空き回路があれば、そのまま利用できます。
空き回路がない場合は分電盤自体の交換工事が必要になるなど、追加費用が発生する点に注意しましょう。
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メリット |
デメリット |
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● 専用回路を確保できるため、安定した電力供給が可能 ● 他の機器の影響を受けにくく、電圧低下やブレーカー落ちのリスクが少ない ● 高消費電力機器(複合機・サーバー・エアコンなど)に適している ● 電気容量の拡張にも対応でき、将来的な増設にも安心
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● 工事費がやや高く、1か所あたり約1万6,000円〜が目安 ● 分電盤に空きがない場合は、分電盤の交換が必要になり追加費用が発生 ● 配線工事の範囲が広く、作業時間が長くなることがある
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既存の配線を分岐させる方法
壁の中を通っている既存の配線を途中で分岐させ、別の場所に新しいコンセントを追加する方法です。
費用は1か所につき約1万2,000円〜が目安となります。
近くに既存の配線があれば、同じ電気回路を使って離れた壁や別の部屋にも電気を届けることができます。
見た目は新しい場所にコンセントが増えた状態になるため、利便性が向上するでしょう。
ただし、同一回路で使える電力量は変わりません。そのため、消費電力の大きい機器を同時に使用すると、ブレーカーが落ちる可能性があります。
設置場所で使う予定の機器の消費電力を事前に確認しておくと、トラブルを避けられます。
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メリット |
デメリット |
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● 工事費が比較的安く、1か所あたり約1万2,000円〜で設置可能 ● 既存の配線を活用できるため、工事期間が短い ● 見た目も自然に新しいコンセントを増設でき、利便性が高い ● 軽負荷の機器(PCやモニター、充電器など)を増やす場合に向いている |
● 同一回路を使用するため、使用できる電力量は増えない ● 高消費電力機器を同時使用するとブレーカーが落ちる可能性がある ● 電力負荷のバランスを考慮しないとトラブルにつながる |
元からコンセントがある場所に増設する場合
既存のコンセントを改修する方法で、費用は1か所につき約5,000円〜が目安です。
もともとの2口コンセントを3口や4口コンセントに交換し、差し込み口の数を増やします。
壁内の配線工事が不要なため、比較的簡単に行える工事であり、費用も抑えやすい点が魅力です。
ただし、一般的なコンセントの最大容量は約1,500Wであり、差し込み口が増えても使用できる電力量は変わりません。
複数の高消費電力機器を同時に使用すると容量オーバーとなり、ブレーカーが落ちる原因になります。
パソコンやモニターなど、比較的消費電力の低い機器を接続する場所であれば問題ありませんが、電気ポットやヒーターなどを同時に使う可能性がある場所では注意が必要です。
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メリット |
デメリット |
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● 既存の2口コンセントを3口・4口タイプに交換するだけで簡単に増設できる ● 壁内の配線工事が不要で、短時間で施工可能 ● 工事費用が安く、1か所あたり約5,000円〜とコストを抑えられる ● 軽負荷機器(パソコン・モニター・スマホ充電器など)の利用に適している |
● コンセント1口あたりの最大容量(約1,500W)は変わらない ● 高消費電力機器を同時に使用するとブレーカーが落ちるリスクがある ● 電力の供給能力は据え置きのため、根本的な電源強化にはならない ● 設置場所によっては、見た目の変更に制限が出る場合もある |
コンセントを増設する際の注意点

コンセント増設は、オフィスの利便性を高めますが、電気工事には安全確保と法律遵守が不可欠です。
ここでは、工事を依頼する前に押さえておきたい、3つの重要事項を解説します。
- 無資格での電気工事は法律違反
- 回路の容量オーバーに注意する
- 信頼できる業者を選ぶ
無資格での電気工事は法律で禁止されている
無資格者による電気工事は、電気工事士法に違反する行為です。
違反すれば罰金が科される可能性があり、工事が原因で事故が発生した場合には民事・刑事の両面で責任を問われることもあります。
「少しの交換だけなら大丈夫だろう」という軽い気持ちが、感電や火災といった重大事故を招くかもしれません。
これらの事故は従業員の命を脅かすだけでなく、企業の安全管理体制そのものを問われる事態にもつながります。
コンセントの増設は必ず有資格者である電気工事業者に依頼し、安全な施工を徹底しましょう。
回路の容量オーバーに注意する
コンセントを増やしても、電気容量が不足していては意味がありません。
一般的に、5人程度の小規模オフィスでは30〜40A(アンペア)が必要とされ、1人あたり約6Aを目安に考えると安心です。
同じ回路に複合機などの高消費電力機器を複数接続すると、容量を超えてブレーカーが落ちるおそれがあります。
頻繁にブレーカーが落ちると業務が中断するだけでなく、機器の故障リスクも高まります。
そのため、コンセントを増設する際は、分電盤の空き回路や電源容量を電気工事業者に確認してもらうことが大切です。
現状の使用状況を把握した上で、余裕のある回路設計を行い、安全で効率的な電源環境を整えましょう。
壁内や床下の配線ルート・構造にも注意する
コンセントを増設する際には、「露出配線」と「隠ぺい配線」の2種類の方法があります。
オフィスのレイアウト変更や什器の増設に伴って配線を延長する場合は、どちらの方法が適しているかを事前に確認しましょう。
たとえば、鉄筋コンクリート造やOAフロアの有無など、建物の構造によって施工の可否や方法が大きく異なります。
壁内に新たな配線を通せない場合は、モール(配線カバー)を使用した露出配線で対応するケースもあります。
見た目や安全性、メンテナンス性を考慮し、最適な配線方法を選ぶことが重要です。
賃貸物件の場合は管理会社への確認が必要
電気工事は原状回復義務に関わるため、許可を得ずに施工するのは避けましょう。
無断でコンセントの増設や配線工事を行うと、退去時に修繕費を請求される可能性があります。
特に壁内配線など、建物の構造に手を加える工事は慎重な対応が求められます。
必ず管理会社やオーナーに事前に相談し、許可を得たうえで専門の電気工事業者へ依頼することが大切です。
原状回復の基礎知識についてはこちらも参考にしてください。
原状回復工事とは?費用や流れ、注意点を徹底解説【退去時の必須知識】
信頼できる業者を選ぶ
コンセントの増設を依頼する際は、信頼できる業者選びが重要なポイントです。
電気工事士の資格を持っているかを必ず確認しましょう。
資格のない業者に依頼すると違法工事となるだけでなく、感電や火災などのリスクが高まります。
そして、施工内容・料金・保証についてや業務時間に合わせた施工スケジュールを提案しているか複数社から見積もりを取って比較検討することをおすすめします。
同じ工事内容でも業者によって費用が異なるため、相場感をつかむうえで有効です。
「見積もりの内訳が明確か」「説明が丁寧か」「質問への対応が誠実か」などの対応品質も、信頼できる業者を見極めるポイントです。
さらに、口コミ評価やアフターサポートの充実度も事前に確認しておくと安心です。
工事後に不具合が発生した際、迅速に対応してくれる業者であれば、長期的に信頼関係を築けるでしょう。
コンセントの増設は信頼できる業者に依頼しよう

コンセントの増設は、オフィスの利便性を高める有効な手段です。
しかし、無資格での工事は法律で禁止されており、事故のリスクも伴います。必ず有資格者による適切な施工を受け、安全な電源環境を整えましょう。
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オフィスの電源環境でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。





