ビジネスフォン(ビジネスホン)の「主装置」は、オフィスの通信を支える中枢機器です。
外線と内線をつなぎ、通話の制御や転送、保留などの機能を一括で管理します。
この記事では、ビジネスフォンの主装置について、仕組みと役割、S/M/Lの規模別タイプ、PBXとの違い、価格相場、そして選び方のポイントまで詳しく解説。
オフィスの電話環境を見直したい方や、新規導入を検討している方に役立つ内容です。
Contents
ビジネスフォンを使うには主装置が必要!

ビジネスフォンを構築するうえで欠かせない主装置は、外線と内線を統括し、システム全体を制御する“司令塔”のような存在です。
主装置の役割は主に「通信制御」と「機能拡張」の2つに分けられます。通話の接続や転送を管理するとともに、留守番電話や自動応答などの機能を拡張して、オフィスのスムーズなコミュニケーションを支えます。
▼それぞれの特徴
| 通信制御 | 拡張機能 |
| ・主装置の基本機能で、オフィス内外の通話をすべて管理する
・ビジネスフォンは複数の電話機で外線・内線を共有するため、主装置が通話の流れを一元管理する ・主装置が発着信をスムーズに振り分け、オフィス全体の通話を効率化する |
・主装置には「ユニット」と呼ばれる拡張パーツを追加できる
・外線ユニットを追加すれば外線回線を、内線ユニットを追加すれば電話機の台数を増やせる ・留守番電話ユニットを追加することで、留守番電話機能も利用可能 ・オフィスの規模や業務内容に合わせて柔軟にシステムを拡張できる |
主装置の仕組み
オフィス内外の通話はすべて主装置を経由して行われます。
主装置は、電話回線と電話機・FAX・ドアホンなどの通信機器をつなぐ「ゲートウェイ(中継装置)」として機能し、外部とのやり取りを円滑に行えるようにしています。
主装置と各機器は、モジュラーケーブルやLANケーブル、電話回線、インターネット回線などで接続されており、FAXの受信も主装置を介して処理される仕組みです。
つまり、オフィス内のすべての通信は主装置を中心に統合されているのです。
このように、主装置はビジネスフォンシステムの「心臓部」といえる存在です。
もし正常に動作しなくなると、外線着信や内線転送などに不具合が生じる恐れがあります。そのため、安定した運用を続けるには、信頼できるサポート体制のもとで管理・メンテナンスを行うことが大切です。
主装置の種類
ビジネスフォンの主装置は、電話機の設置台数と回線の収容数によって、S・M・Lの3クラスに分類されます。
〈Sクラス〉
・電話機の設置台数:最大10台
・電話回線の収容数:4チャネル(ISDN2回線またはアナログ4回線)
・対応規模:小規模オフィス向け
〈Mクラス〉
・電話機の設置台数:最大30台
・電話回線の収容数:12チャネル(ISDN6回線またはアナログ12回線)
・対応規模:中規模オフィス向け
〈Lクラス〉
・電話機の設置台数:最大80台(主装置の増設でさらに拡張可能)
・電話回線の収容数:24チャネル(ISDN12回線またはアナログ24回線)
・対応規模:大規模オフィス・コールセンター向け
オフィスの規模や通話量に合わせて最適なクラスを選びましょう。
事業拡大を見据えて、柔軟に拡張できる主装置を選ぶと、人員増加による買い換えのリスクが軽減され、長期的なコスト削減にもつながります。
主装置の耐久年数
主装置の法定耐用年数は、6年(新品購入時)に設定されています。
しかし、これは税務上の資産価値を示す目安であり、6年を過ぎたからといって故障するわけではありません。
適切にメンテナンスされていれば、6年以上経過した主装置でも問題なく使用できます。
ただし、法定耐用年数は新品購入時のみに適用されるため、中古品には設定されません。
中古の主装置を導入する場合は、保管状態・年式・メンテナンス状況を確認しておくことが重要です。
販売店の保証内容や交換部品の供給可否も事前に確認しておくと、導入後のトラブルを防げます。
主装置とPBXの違いを解説

主装置とPBXは、どちらもオフィスの通話を管理する装置ですが、規模や仕組みに違いがあります。
主装置は、小規模オフィス向けのビジネスフォンに使われる装置で、外線と内線をつなぎ、通話や転送をスムーズに行う役割を持ちます。
一方、PBX(Private Branch Exchange)は「構内交換機」と呼ばれ、中〜大規模オフィス向けに設計された高機能タイプです。
より多くの電話機や回線を管理でき、内線通話や転送、保留などの機能も豊富です。
つまり、主装置はビジネスフォン用の基本的な通信装置、PBXは大規模オフィスにも対応できる発展型システムといえます。
▼主装置とPBXの違い
| 主装置 | PBX(Private Branch Exchange) |
| ・小規模オフィス向けのビジネスフォンに使われる通信装置
・外線と内線をつなぎ、通話や転送を制御する基本的な役割を持つ ・限られた台数の電話機を管理するシンプルな構成 ・設置型が一般的で、導入・設定が比較的容易 ・小規模事業所や店舗など、コストを抑えて運用したい環境に適している |
・中〜大規模オフィス向けの「構内交換機」
・主装置と同様に外線・内線を管理しつつ、多くの回線や電話機に対応 ・内線通話、保留、転送、会議通話などの機能が豊富 ・拠点間の通信や在宅勤務にも対応できる柔軟な構成 ・物理的な装置を設置する「オンプレミス型」に加え、近年は「クラウドPBX」も普及している |
どちらを選ぶかは、オフィスの規模・必要機能・予算を考慮した、総合的な判断が求められます。
ビジネスフォンの主装置の価格相場

主装置の価格は、接続する電話機の台数や回線数によって変動します。
主装置はS・M・Lの3サイズに分類され、それぞれの価格帯は以下の通りです。
| サイズ | 外線数の目安 | 内線数の目安 | 主装置本体の価格相場 | 特徴 |
| S | 8chまで | 10台まで | 約15万円 | 小規模オフィス向け、多機能かつ拡張性が高い点が魅力。 |
| M | 12chまで | 30台まで | 約30万円 | 中規模オフィス向け、高い拡張性と多機能性が特徴。 |
| L | 24ch以上 | 80台以上 | 50万円以上 | 大規模オフィス・コールセンター向け、高度な連携機能に対応 |
上記の価格は主装置本体のみの目安であり、実際には電話機本体の費用、各種ユニット(外線・内線・FAXなど)の費用、設置工事費などが加算されます。
自社の規模や利用人数に合わせて、最適なサイズを選ぶことが重要ですが、現状だけでなく将来の成長を見越した拡張性も考慮しましょう。
ビジネスフォンの主装置の選び方

主装置の選定は、オフィスの電話環境を大きく左右します。
以下の4つの観点から、自社に最適な主装置を検討しましょう。
- 電話機の接続台数で選ぶ
- 回線とチャネル数から選ぶ
- コストとメンテナンス性を比較する
- 将来の拡張性を考慮する
電話機の接続台数で選ぶ
主装置によって接続できる電話機の台数(内線数)が異なるため、導入前に十分な台数を確保できるか確認しましょう。
接続台数が不足すると内線や外線の対応が滞り、業務効率の低下を招きかねません。
重要なのは、現在の従業員数だけでなく将来の増員も見据えて余裕を持たせることです。
例えば、従業員が10人であっても、1年後に20人へ増員を予定している場合は、20台以上の接続が可能な主装置を選ぶのが望ましいでしょう。
ただし、接続台数が増えるほど本体価格も高くなるため、必要台数と予算のバランスを意識する必要があります。
回線とチャネル数から選ぶ
外線数とは、同時に利用できる外線の本数、チャネル数は、同時に通話できる回線数(外線・内線を含む)のことです。
例えば、「外線数2」とは、同時に2件の外線通話が可能であることを示します。
また、「チャネル数4」であれば、外線1件+内線3件や外線2件+内線2件など、合計4件の通話が同時に可能ということになります。
外線数やチャネル数が不足すると、電話がつながりにくくなり、顧客対応の遅れや機会の損失を招く恐れもあるでしょう。
特に、営業部門など通話頻度の高い部署では、十分な回線数・チャネル数の確保が業務継続の生命線となります。
しかし、過剰な回線契約はコスト増に直結します。現在の利用状況と、将来の事業拡大を見据えて、最適な数を設定することが大切です。
コストとメンテナンス性を比較する
主装置の新品購入価格は、10~50万円程度が相場ですが、中古品やリースを活用すれば初期費用を大幅に抑えられます。
中古品を選ぶ際は、設置後の保守サポート体制もチェックしておくと安心です。
故障時の迅速な対応や設定変更への対応可否など、長期的な安定運用をサポートする体制が整っているか確認しましょう。
主装置は電話業務の根幹となるため、主装置の価格だけに気を取られずに、メンテナンス費や対応速度も考慮に入れ、トータルコストと安定稼働の両面から最適な製品を選び大切です。
将来の拡張性を考慮する
事業拡大の予定がある場合は、ユニット増設によって内線や外線を後から簡単に追加できるタイプの主装置をおすすめします。
拡張性のないモデルを選んでしまうと、従業員が増えた際に主装置ごと交換する必要が生じ、余計なコストと手間が発生します。
将来的な規模拡大を見据え、現在のニーズよりも少し余裕のある容量のモデルを選ぶか、拡張ユニットの取り付けが容易なモデルを選ぶと長期的にも安定した運用が可能です。
適切な主装置を選び快適な電話環境を整えましょう
主装置は単なる電話交換機ではなく、オフィスの通話環境全体を支える中枢的な設備です。
自社の現状と将来的な成長計画を踏まえ、通信制御機能・拡張性などを総合的に判断することがポイントです。
しかし、ビジネスフォンの導入には専門的な知識と工事が必要であり、機種選定から設置・設定までには時間とコストがかかります。
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