
オフィスの天井は、空間の快適性や印象を左右する重要な要素のひとつです。
天井の選び方によって、遮音性や断熱性といった機能性が高まるだけでなく、空間に洗練された雰囲気を演出することも可能です。
この記事では、オフィスの天井工事にかかる費用相場をはじめ、主な工事の種類や素材ごとの特徴、おしゃれに仕上げるためのポイントまで詳しく解説します。
機能性とデザイン性の両立を目指した、理想のオフィスづくりにぜひお役立てください。
Contents
オフィスの天井デザインとは?種類を解説
オフィスの天井は、素材や構造によって印象が大きく変わるため、空間の目的やイメージに合わせて選びましょう。
ここでは、オフィス天井の代表的な種類やそれぞれの特徴についてわかりやすく解説します。
- システム天井(グリッド天井)
- スケルトン天井
- 従来工法天井(ボード天井)
- 木目天井
- 吸音パネル天井
システム天井(グリッド天井)
システム天井(グリッド天井)は、照明や空調設備などを自由にレイアウトできる機能的な天井です。
天井の表面が格子状(グリッド状)になっていて、そのマス目の中に照明、スピーカー、エアコンの吹き出し口などの設備をはめ込むスタイルが特徴です。
この「グリッド」に沿って機器を簡単に移動させたり、取り替えたりできるため、レイアウト変更の多いオフィスにぴったりの天井構造です。
たとえば、社員の座席を移動したり、会議室の位置を変えたりするときでも、照明や空調の位置を柔軟に調整できるため、工事の手間やコストを抑えられるのが大きなメリットです。
スケルトン天井
スケルトン天井とは、コンクリートや配管などの構造部分をむき出しにしたデザインです。
本来なら天井材で隠されている空調のダクトや電気配線、コンクリートの梁(はり)などがそのまま見えるのが特徴で、開放感のあるスタイリッシュな雰囲気を演出できます。
デザイン性の高さから人気のある天井ですが、配線やダクトが見えるため、すっきり見せる工夫が必要です。防音性や断熱性も他の構造に比べて劣る場合があります。
気になる場合は、吸音ボードの設置や空調機器の増設などで快適性を補うのがおすすめです。
従来工法天井(ボード天井)
従来工法天井とは、天井の骨組みにボードや仕上げ材を貼って仕上げる、もっとも一般的なスタイルです。
オフィスや住宅などで広く採用されており、天井内部に照明や空調設備の配線・配管を収納できるため、見た目がすっきりと整う点が特徴です。
使用する素材やデザインの自由度が高く、落ち着いた雰囲気から高級感のある仕上がりまで、空間に合わせて柔軟に対応できます。
防音性や断熱性にも優れており、快適な室内環境をつくりやすいのもメリットです。
木目天井
木目天井とは、天井に木材や木目調の素材を取り入れ、温かみのある空間を演出するデザインです。
ナチュラルで落ち着いた雰囲気が生まれるため、来客スペースやリラックスエリアで多く採用されています。
無機質になりがちなオフィス空間にやさしい印象を加えられるため、近年は「働きやすいオフィスづくり」を目指す企業からも人気を集めています。
ただし、使用する素材によってはコストが上がるため、予算に応じて本物の木材か木目調シートを選ぶとよいでしょう。
吸音パネル天井
吸音パネル天井とは、音を吸収する専用パネルを天井に取り付けて、反響音や騒音を抑える構造の天井です。
オフィスでは電話の声や打ち合わせの音など、さまざまな音が飛び交います。吸音パネルを設置すれば、話し声の反響を抑え、集中しやすい静かな空間に整えられるのです。
パネルの素材には、グラスウールやフェルト、ウレタンなどが使われており、デザイン性のある製品も多く、見た目にもこだわった空間づくりが可能です。
特に会議室やWeb会議を行うスペース、オープンな執務エリアでの導入に適しています。
オフィス天井の工事費用
オフィスの天井は新築時にすでに施工されているため、テナント入居時に全面的な天井工事を行うことはほとんどありません。
基本的には、照明や空調の位置調整など、部分的な工事にとどまります。
そこで今回は、上記のような一部補修や改修が必要になった場合を想定し、1㎡あたりの工事費用の目安をまとめました。コストの参考にご覧ください。
天井の種類 | 仕上がり | 費用相場(1㎡あたり) | 経済性 |
システム天井
(グリッド天井) |
スッキリ
整然 |
9,000~30,000円 | 〇 |
スケルトン天井 | 無機質 | 4,000~9,000円 | ◎ |
従来工法天井
(石膏ボード+クロス貼り) |
フラット | 6,000~12,000円 | ◎ |
木目天井 | 高級感 | 15,000~30,000円 | △ |
オフィスの天井のデザインを選ぶポイント
天井のデザインは、オフィス全体の雰囲気や働きやすさに大きく影響します。
見た目の印象だけでなく、遮音性や照明との相性、メンテナンスのしやすさなども含めて、空間の目的に合ったもの選びましょう。
ここでは、オフィスの天井を選ぶ際に押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。
- 天井高と圧迫感のバランス
- 照明・空調との連携性
- 音響環境(反響や吸音性)
- 企業イメージに合うデザイン性
- メンテナンス・将来的な改修のしやすさ
天井高と圧迫感のバランス
天井が高いと、空間に開放感が生まれますが、その反面、空調効率の低下や広すぎて落ち着かないと感じるケースもあります。
逆に、天井が低すぎると圧迫感が生じ、長時間の業務に集中しづらくなる恐れがあります。
建築基準法では、天井の高さは最低2.1メートル以上と定められていますが、実際に快適なオフィス環境を実現するには、床面積や使用目的に応じて、適切な天井高を設定する必要があります。
天井を十分に高く確保できない場合でも、照明の配置や色使い、内装デザインを工夫すれば、視覚的な広がりを感じる空間に仕上げられます。
働きやすさと居心地の良さを両立させるには、天井高を空間設計の中で重要な要素として意識しておきましょう。
照明・空調との連携性
機能性と快適性の両立を図るには、天井デザインを照明や空調と一体で考える視点が求められます。
照明は、天井の高さや素材によって明るさの印象が変わるため、空間全体のバランスを踏まえた設計が必要です。
さらに、空調の吹き出し口の位置や換気の流れを工夫すれば、冷暖房のムラを抑えやすくなり、快適な室内環境の維持にもつながるでしょう。
たとえば、システム天井のように、照明やエアコンの位置を柔軟に変更できる構造であれば、レイアウト変更にもスムーズに対応可能です。
一方、従来工法のような固定型の天井では、設備の移動に制限があり、変更には工事が必要になるケースもあるため、注意してください。
音響環境(反響や吸音性)
天井の素材や構造によって、音の反響や吸音性は大きく変わってきます。
たとえば、コンクリートむき出しのスケルトン天井はデザイン性に優れる反面、音が反響しやすく、話し声や雑音が響きがちです。
一方で、吸音性の高いパネルや素材を取り入れた天井なら、反響音を抑え、静かな環境をつくれます。
オフィスの用途や働き方に応じて、吸音パネルを取り入れるなど、音響環境に配慮した天井づくりを意識してみましょう。
企業イメージに合うデザイン性
天井のデザインは、オフィスの印象を左右する大切な要素です。
色や素材、仕上げ方によって空間の雰囲気は大きく変わるため、企業のブランドイメージや理念に合ったデザインを意識しましょう。
たとえば、ナチュラルで親しみやすい印象を与えたいなら木目調の天井がおすすめです。
SDGs、C 削減の理念を表現した木製オフィス トミザワ本社
スタイリッシュで先進的なイメージを演出したい場合は、スケルトン天井やモノトーンカラーの天井がよく合います。
見た目のデザインも、企業らしさを伝える大事なツールのひとつとして活用しましょう。
メンテナンス・将来的な改修のしやすさ
天井設備を柔軟に移設できる工法は、将来的な変化に対応しやすく、非常に利便性が高いです。
企業では、人員の増加や働き方の変化によるデスクの移動、技術革新に伴う新しい設備の導入・移設など、レイアウト変更が頻繁に発生します。
メンテナンス性の高い工法であれば、日常的な点検や設備の交換もスムーズに行え、オフィスを良好な状態に保ちやすくなります。
特に、賃貸オフィスを長く利用したい場合や、自社ビルでの長期運用を前提としている場合には、照明や空調の位置変更がしやすいシステム天井(グリッド天井)の導入がおすすめです。
オフィスの天井をおしゃれにするコツと事例
オフィスレスキュー119Happyが手掛けた、オフィス天井の施工事例を紹介します。
機能性を高めながら、デザイン性にもこだわった施工例をピックアップしていますので、オフィスづくりの参考にしてみてください。
あわせて、空間をおしゃれに仕上げるための工夫やポイントも解説します。
スケルトン天井で開放感とデザインを両立した事例
地下の一室にスケルトン天井を採用し、天井の配管をあえて見せることで個性的な空間に仕上げた事例です。
無機質な配管やコンクリートは、全体を白に塗装し、クールな印象を保ちつつ、空間全体が明るく仕上がっています。
光が入りにくい地下の一室とは思えないほど、室内には広がりと開放感が生まれました。
塗装で印象を一新した天井デザインの事例
天井の塗装によって空間の印象を一新した事例です。
経年劣化で汚れていた天井を、柔らかさとぬくもりを感じる白に塗り替えた結果、室内全体が明るく生まれ変わりました。同じ白でも、色味や質感によって受ける印象は大きく異なります。
空間により奥行きを持たせたい場合は、間接照明を取り入れて天井や壁に光を当てるのがおすすめです。やわらかな光の広がりが、空間に立体感と落ち着きをプラスしてくれます。
アクセントカラーを取り入れた天井デザインの事例
天井にアクセントカラーを取り入れた事例です。
床には木目調、壁にはチャコールグレー、そして天井にはブラウンを使用しました。
全体をダークトーンでまとめ、おしゃれな書斎のような落ち着いた空間に仕上がっています。
スポットライトを壁に当てることで陰影が生まれ、よりドラマチックな雰囲気が漂います。
目的に合わせた天井選びで、オフィスの価値を高めましょう
天井は、見た目だけでなく、快適性や機能性にも大きな影響を与える重要な要素です。遮音性、メンテナンス性、デザイン性など、何を優先するかを明確にすれば、オフィス空間の質は大きく向上します。
さらに、目的に合った天井を選べば、働く人にとっての居心地や業務効率が高まり、企業イメージの向上にもつながります。
オフィスレスキュー119Happyでは、これまでに数多くの天井工事を手がけてきました。
床やパーティションの施工、家具の選定・設置まで対応可能なため、オフィス空間に関するお悩みをトータルでサポートできます。
天井リフォームをご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。