オフィス回帰とは?最新の動向と快適なオフィスの在り方を解説

コロナ禍をきっかけに、テレワークという働き方が急速に広まりました。しかし近年、あらためてオフィスの価値が見直されるようになり、「オフィス回帰」という動きが注目を集めています。

オフィス回帰とは、リモートワークを中心とした働き方から、再び出社を取り入れたスタイルへと移行する流れのことを指します。

ただし、それは単に“元の働き方に戻る”という意味ではありません。柔軟な働き方や快適な職場環境を取り入れた、新しい形のオフィスが求められているのです。

本記事では、オフィス回帰の背景や最新動向を解説しながら、これからの時代にふさわしい理想のオフィスの在り方を探っていきます。

オフィス回帰とは?

オフィス回帰とは、コロナ禍で定着したリモートワークを中心とした働き方から、再びオフィスへの出社を取り入れる方向へと移行する動きのことを指します。

ただし、単に従来の出社スタイルに戻るのではなく、ハイブリッドワークやフレックス制度など、柔軟性を保ちながらオフィスを活用する新しい働き方が主流になりつつあります。

企業にとっては、社員同士のコミュニケーションや創造性の促進、生産性の向上といった観点から、オフィスの存在価値を再定義することが求められているのです。

オフィス回帰の現状

国土交通省の「令和5年テレワーク人口実態調査」によると、2023年のテレワーク実施率は24.8%で、2021年以降は減少傾向にあります。

こうした背景から、徐々にオフィスへの出社を再開する“オフィス回帰”の流れが進みつつあります。

一方で、テレワークのニーズは依然として高く、テレワーカーの7割以上が「週1〜4日のテレワークと出社を組み合わせたハイブリッドワーク」を希望しています。

特に若い世代ほどテレワーク志向が強い傾向が見られます。

政府は2023年に雇用型テレワークの実施率25%を目標に掲げていましたが、実際の達成率は21.3%にとどまりました。

それでも、2025年4月からは、育児や介護を担う労働者がテレワークを利用できるよう、事業主に対して努力義務を課す方針が示されており、国としての推進姿勢は今後も継続すると見られています。

出典:「令和5年テレワーク人口実態調査」(国土交通省)、「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」(厚生労働省)

オフィス回帰後は出社とハイブリッドワークの2つに分かれる

オフィス回帰が進んだ現在、働き方は「完全出社」と「ハイブリッドワーク」の2つに大きく分かれるようになりました。

以下にそれぞれの特徴をまとめました。

完全出社型

ハイブリッドワーク

・毎日オフィスに出社して勤務するスタイル

・対面でのコミュニケーションやチーム連携を重視

・勤怠管理やマネジメントがしやすい

・業種によっては業務上、物理的な出社が必要(例:製造業、医療・福祉、接客業など)

・一方で、通勤の負担や柔軟性の欠如が課題になることも

・出社とテレワークを組み合わせた柔軟な働き方

・週に1~4日程度の出社が一般的

・自宅で集中作業、オフィスで対面の打ち合わせやチームビルディングなど、業務に応じて使い分けが可能

・働く人のライフスタイルや生産性を重視した運用ができる

・業務の可視化やマネジメントに工夫が必要になるケースもある

リモートワークを取り入れつつも、週に数回は出社するハイブリッド型が主流となる一方で、業種や企業文化によっては完全出社を再び基本とする動きも見られます。

コロナ禍以前の出社一辺倒には戻らず、柔軟性を保った形でのオフィス活用が求められています。

オフィス回帰のメリット

多くの企業がオフィス回帰を進めているのは、リモートワークで失われがちなコミュニケーションを復活させ、企業の競争力を高められるためです。

以下では、オフィス回帰によって得られるメリットを詳しく解説します。

  • コミュニケーションの質が向上した
  • マネジメントがしやすくなった
  • 生産性が向上した
  • 組織文化や一体感が醸成された

コミュニケーションの質が向上した

オフィスに出社することで対面のやり取りが増え、コミュニケーションの質の向上が期待できるでしょう。

対面での仕事は、雑談や相談がしやすくなり、業務の進行がスムーズになるだけでなく、チーム内の信頼関係や一体感の強化にもつながります。

また、リモートでは伝わりにくかった表情や声のトーンといった微妙なニュアンスも共有しやすいため、意思疎通の精度が高まる点もメリットです。

マネジメントがしやすくなった

出社によって社内メンバーの様子を直接確認できるようになり、マネジメントがしやすくなります。

進捗や業務状況の確認がしやすいのはもちろん、ちょっとした変化や悩みにも気づきやすくなるのです。

対面でのやり取りが増えると自然と信頼関係が築きやすくなり、チーム全体の士気や一体感の向上にもつながっていきます。

生産性が向上した

オフィスには快適な通信環境が整っているうえ、必要な情報や相談相手も身近に揃っているため、仕事をスムーズに進めやすくなります。

一方、リモートワークではオンオフの切り替えが難しく、集中力が途切れたり、必要な情報にすぐアクセスできなかったりと、生産性を下げる要因も少なくありません。

その点、オフィスではやり取りがダイレクトでスピーディーです。疑問や確認がその場で解決できるため、業務の進行が加速し、結果として生産性の向上につながるのです。

組織文化や一体感が醸成された

オフィス回帰により、企業の組織文化を肌で感じ、一体感を育みやすくなる点もメリットのひとつです。

同じ空間で顔を合わせながら働く中で、共通の目標に向かう協働が生まれ、企業理念への理解や共感も深まります。

日々の積み重ねによって社員同士の連帯感が育ち、企業へのエンゲージメントが高まり、組織全体の結束力も一層強まっていきます。

オフィス回帰のデメリット

企業経営においてメリットの多いオフィス回帰ですが、従業員にとっては負担となり、企業の魅力低下にもなりかねません。

ここでは、オフィス回帰のデメリットを解説します。

  • 通勤による負担の増加
  • 柔軟性の低下と離職リスク

通勤による負担の増加

オフィス回帰のデメリットとして、通勤による負担の増加が挙げられます。

通勤に時間や体力を使うため、自由に使える時間が減り、ワークライフバランスが崩れやすくなります。

特に長時間通勤や混雑した公共交通機関を利用する人にとっては、大きなストレス要因となり、生産性やモチベーションの低下にもつながりかねません。

こうした負担を軽減するためには、混雑する時間帯を避けられるフレックスタイム制の導入や、出社と在宅を併用するハイブリッドワークの活用など、柔軟な働き方を取り入れる工夫が求められます。

柔軟性の低下と離職リスク

オフィス回帰が進む一方で、働き方の柔軟性が失われる懸念もあります。

リモートワークで可能だった自分のペースでの勤務や、通勤時間の削減といった利点がなくなり、不満を感じる社員も少なくありません。

特に若い世代は柔軟な働き方を重視する傾向が強く、出社の義務化によって離職や転職を視野に入れるケースも増えています。

こうしたリスクを回避するには、社員の声に丁寧に耳を傾けながら、働きやすさとオフィス活用の両立を目指す姿勢が求められます。

オフィス回帰をうまく進める方法

オフィス回帰を進めるにあたり、単に出社を求めるだけではなく、社員が納得し、前向きに働ける環境づくりが求められます。

ここでは、オフィス回帰を円滑に進めるためのポイントや工夫を紹介します。

  • 「目的」を明確に伝え社員の意見を取り入れる
  • 段階的な移行とハイブリッドワークの導入
  • 出社する価値のあるオフィス環境づくり

「目的」を明確に伝え社員の意見を取り入れる

オフィス回帰を進めるには、出社の目的を明確に伝える姿勢が重要です。

ただ出社を求めるのではなく、コミュニケーションの活性化やチームビルディングなど、企業として何を目指しているのかを丁寧に共有すれば、社員の納得感も高まります。

あわせて、社員の声にもしっかり耳を傾ける必要があります。

働きやすさや業務効率を維持するには、現場の実情や希望を踏まえた柔軟な制度設計が、スムーズな移行につながります。

段階的な移行とハイブリッドワークの導入

オフィス回帰を無理なく進めるには、一斉に出社を求めるのではなく、段階的な移行が効果的です。

週に数日の出社からスタートし、徐々にオフィス勤務に慣れていけるようにすれば、社員の負担も軽減されます。

あわせて、出社と在宅を柔軟に組み合わせるハイブリッドワークの導入も、多様な働き方に対応するうえで有効です。

業務の内容や個々の事情に応じて働き方を選べるようにすれば、生産性と働きやすさの両立が実現しやすくなります。

出社する価値のあるオフィス環境づくり

オフィス回帰を成功させるには、「出社したい」と思える環境づくりが大切です。

快適な作業スペースやリラックスできる共有エリア、コミュニケーションが生まれやすいレイアウトなど、オフィスならではの魅力を感じられる空間が求められます。

集中と交流のバランスがとれた環境があれば、出社の意義が明確になり、社員のモチベーションやチームの一体感も自然に高まるでしょう。

出社したくなる環境に整えることがオフィス回帰成功のカギ

オフィス回帰を円滑に進めるには、出社を促すだけではなく、「出社したくなる環境」を整える視点が重要であるとわかりました。

働きやすさや快適さを感じられる空間づくりに加え、自然なコミュニケーションが生まれる仕掛けや、ライフスタイルに応じた柔軟な働き方の選択肢を用意することが大切です。

こうした工夫が社員の納得感やエンゲージメントを高め、オフィス回帰を前向きな変化として根づかせるカギになります。

オフィスレスキュー119Happyでは、これまで数多くのオフィスリフォームや改善工事を手がけてきました。

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