お中元は、日頃の感謝を伝える夏のご挨拶です。 取引先への手配を任され、「ビジネスではいつまでに贈るべきか」「どんな品が喜ばれるのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。
ビジネスシーンでお中元を贈る場合は、個人間とは異なる特有のマナーにも注意が必要です。
本記事では、贈る目的や時期といった基本マナーから、喜ばれるギフトの選び方まで、企業向けお中元の基礎知識を徹底解説。
さらに、いただいた際のお礼メールや返礼対応法についてもあわせてご紹介します。
お中元の基礎知識

お中元は、日頃の感謝を夏に伝える贈答の習慣です。まずは目的や時期など、対応の土台となる基礎知識を押さえておきましょう。
- お中元を贈る目的
- お中元とお歳暮の違い
- お中元を贈る時期
お中元を贈る目的
お中元を贈る目的は、日頃の感謝を伝えることです。お世話になっている顧客や取引先に、お礼の気持ちを形にして届けます。
あわせて、今後も良い関係を続けたいという意思を示す意味もあります。
さらに、暑さの厳しい夏を元気に乗り切ってほしいという、相手の健康を気遣う願いも込められているのです。
お中元は、取引先との関係を築くうえで重要な役割を担う習慣といえるでしょう。
お中元とお歳暮の違い
お中元もお歳暮も、お世話になっている人へ感謝の品を贈る慣習です。主な違いは、「贈る時期と意味合い」にあります。
お中元はお盆の時期に、上半期のお礼として品物を贈ります。お歳暮は年末に、1年間のお礼として贈るものです。
どちらか一方にするなら、一年の締めくくりであるお歳暮を選ぶのが一般的です。
また、両方を贈る場合は、お歳暮の価格をやや高めにして重きを置くケースもみられます。
お中元を贈る時期
お中元を贈る時期は地域で異なります。関東は7月初旬〜7月15日頃、関西は7月中旬〜8月15日頃が目安です。
北海道や九州、沖縄なども時期が違うため、遠方へ贈る際は相手の地域に合わせましょう。
万が一時期を過ぎた場合は、のしの表書きを変えて手配します。一般的には立秋まで「暑中御見舞」、以降は「残暑御見舞」ですが、ビジネスシーンでは「暑中御伺」「残暑御伺」として贈るのがマナーです。
ビジネスでお中元を贈るときのマナー

ビジネスのお中元は、金額やのしの表書きなど、個人間とは違う配慮が必要です。
この章では、贈る前に確認したい4つのマナーを解説します。
- 相場を確認する
- のし・表書きを確認する
- 挨拶やメッセージを添える
- 贈ってよい相手か確認する
相場を確認する
お中元は高額すぎない範囲で選びましょう。相場は3,000円〜5,000円程度、お世話になった相手でも1万円程度までが一般的です。
高価すぎる品はお返しに気を遣わせ、相手の負担になります。毎年無理なく継続できる金額にすることが大切です。
また、担当者が変わっても迷わないよう社内で金額ルールを決め、贈答履歴に相手先名、品物、金額、発送日を残しておけば引き継ぎもスムーズです。
のし・表書きを確認する
お中元には、のし紙をかけて贈るのが正式なマナーです。のし紙とは、右上に熨斗飾り、中央に水引を印刷した、改まった贈答用の紙です。
表書きの上段は「御中元」、下段に会社名・部署名・担当者名を記入します。配送の場合も、誰から届いたか分かるよう正確に書くのがポイントです。
時期を過ぎて手配する場合は、表書きを「暑中御伺」や「残暑御伺」に変えるのを忘れないようにしましょう。
挨拶やメッセージを添える
お中元を手渡しする場合は「添え状」を添え、配送する場合は先に届くよう「送り状」を別送するのがマナーです。別送には、先方に到着を知らせる役割もあります。
文面には日頃の感謝や健康を気遣う言葉、今後の引き立てを願う挨拶のほか、夏季休業案内を織り交ぜるのもおすすめです。
長い文章は避け、要点を簡潔にまとめた温かみのある内容を心がけましょう。
| 【送り状の例文】拝啓
猛暑の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 日頃の感謝を込めて、心ばかりの品をお贈りいたしました。 ご笑納いただけますと幸いです。 暑さ厳しき折、皆様のご健勝をお祈り申し上げます。 略儀ながら、書中をもちましてご挨拶申し上げます。 敬具 |
贈ってよい相手か確認する
相手先の社内規定や職業上のルールにより、お中元を受け取れない場合があります。
公務員や公的機関の関係者などへ贈る場合は、特に注意が必要です。
相手先の贈答ルールが分からないときは、事前に過去の送付履歴を確認するか、自社の担当者や上司に相談しましょう。
ビジネスでのお中元の選び方

お中元は、相手に喜ばれつつ、負担をかけない品物を選ぶことが大切です。ビジネスシーンならではの贈り物選びのポイントをみていきましょう。
常温で日持ちするものを選ぶ
- 場所をとらず、社内で分けやすいものを選ぶ
- 相手の負担にならない品物を選ぶ
- 避けた方がよい品物も確認しておく
常温で日持ちするものを選ぶ
ビジネス向けのお中元は、常温保存できて賞味期限に余裕のある品物が向いています。
定番の焼き菓子やゼリー、飲料などは、社内で管理しやすく部署内でも配りやすいため安心です。
一方、冷蔵・冷凍品は相手先に保管場所があるとは限らず、特にお盆休みなどの長期休暇をはさむと放置されて傷むおそれがあります。
夏場は気温も高いため、日持ちのよさを最優先に選びましょう。
場所をとらず、社内で分けやすいものを選ぶ
保管場所をとらない、コンパクトな品物を選びましょう。大きすぎる箱はデスクや棚を圧迫し、置き場所に困ることがあります。
また、部署内で配りやすいよう、個包装された菓子やドリップコーヒーなどの飲料が最適です。
包丁で切り分ける品は手間がかかるためビジネスには向きません。個包装なら業務の合間に手軽に楽しめます。
先方の人数が分かる場合は、全員に行き渡る数量かも必ず確認しておきましょう。
相手の負担にならない品物を選ぶ
高価な品は相手にお返しの気を遣わせるため、相場を目安に背伸びしない品を選びましょう。
珍味など好みが分かれるものは避け、迷ったら先方の業種や社風に合わせるのがおすすめです。
来客の多い部署にはそのまま出せる個包装の焼き菓子、外回りが多いなら飲料、若手中心なら話題性の高いスイーツなど、相手の職場の様子をイメージして選ぶと喜ばれやすくなります。
避けた方がよい品物も確認しておく
贈り物にはマナー違反や縁起の悪さから、避けるべき品があります。
ハンカチ:「手巾(てぎれ)」と書き、縁切りを連想させる
時計・カバン・筆記用具:「より勤勉に」の意味があり目上に失礼
商品券・現金:金額が露骨に分かり失礼にあたる
これらは取引先に対して不向きなため注意が必要です。判断に迷うときは、定番の菓子や飲料、日持ちする食品を選びましょう。
お中元をもらったときの対応

お中元を受け取ったときは、まず受け取りの報告とお礼を伝えます。返礼や辞退が必要な場合も、会社の方針に沿って対応しましょう。
- すぐにお礼状・お礼メールを送る
- 必要に応じて返礼品を贈る
- 贈答を辞退する場合は丁寧に伝える
すぐにお礼状・お礼メールを送る
お中元を受け取ったら早めにお礼を伝えましょう。日数が空くと相手を不安にさせてしまいます。
お礼状やメールには、受け取り報告と感謝、相手の健康を気遣う結びの言葉を入れるのが一般的です。
| 【お礼メールの文例】
件名:お中元のお礼 株式会社〇〇 〇〇様 いつもお世話になっております。 株式会社△△の□□です。 このたびは結構なお品をお送りいただき、誠にありがとうございました。 社内一同で、ありがたく頂戴いたします。 暑い日が続きますので、皆様どうぞご自愛ください。 今後ともよろしくお願いいたします。 |
必要に応じて返礼品を贈る
ビジネスでお中元をいただいた場合、必ずしも返礼品を贈る必要はありません。早めにお礼状やメールを送れば、マナー上は問題ないとされています。
ただし、会社同士の関係や過去の慣例から、返礼品を用意した方がよい場合もあります。
贈るときは、いただいた品の半額から同額程度を目安に、相手に気を使わせない範囲で選びます。
判断に迷う場合は、自己判断で進めず、社内ルールや上司、担当部署に確認しましょう。
贈答を辞退する場合は丁寧に伝える
コンプライアンスの観点から贈答品を辞退する会社も増えています。
断る際はまず相手の厚意への感謝を伝え、そのうえで「会社の方針により辞退している」旨の理由を明記しましょう。
「今後はお気遣いなさいませんよう」など、やわらかい表現を添えて今後のお付き合いを願う姿勢を示すことが大切です。
辞退の連絡後は、担当者が代わっても同じ方針で対応できるよう社内で共有しておきましょう。
お中元対応は基本マナーを押さえて進めよう

お中元のマナーは、時期・相場・のし・品選びの基本さえ押さえれば決して難しいものではありません。また、お中元をいただいた際は、早めにお礼を伝えることも大切です。
今回ご紹介した基本を社内で共有しておけば、担当者が変わっても迷わず安心して対応できます。
こうした小さな配慮の積み重ねが、取引先との強固な信頼関係へとつながります。今年のお中元対応は、ぜひ本記事を参考に進めてみてください。


